軽症のうつ病には抗うつ薬は効かない

週刊朝日にうつ病の特集が掲載されましたがあなたは読まれましたか?

薬だけに頼っていませんか?「うつ治療の盲点」というタイトルでした。

内容は、

  • 軽症うつ病に薬は効きにくい
  • 生活環境の対応で改善する

というのです。

 

薬を飲んで休養を取れば治るという言葉を信じて薬を飲み続けても改善しないうつ病患者が多く、

最初に診療を受けた精神科で人生が変わる

というのです。

 

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うつ病治療の盲点とは

週刊朝日、7月22日号ではうつ病治療の特集が掲載されていました。

 薬だけに頼っていませんか?

 うつ病治療の盲点

というタイトルで、

  1. 軽症のうつ病には薬は効きにくい
  2. 大事なのは薬よりも周囲の支え
  3. 減薬方法を知らない医者も多い

というサブタイトルが付いて、

「うつ病になったら薬を飲んで休養を取れば治る」という医者の言葉を信じて薬を飲み続けているがうつ病が改善しないといううつ病患者が多い。
現在のうつ病の治療では何が足りないのだろうか、うつ病の治療ではどんな精神科の医者を選べば良いのだろうか、、、

 

という書き出しです。

軽症のうつ病には抗うつ薬は効かないという論文があります

 

本文中では、薬漬けになったNさん(男性、41歳)を紹介しています。

Nさんは、18年前に、早朝から深夜までの仕事や、先輩からの嫌がらせなどが続き、朝起きられない、肩や首が痛い、倦怠感などから遅刻が続くようになり、上司の勧めで精神科を訪れたところ、うつ病と診断されたそうです。

直ぐに、抗うつ薬のパキシルを処方され、2ヵ月間休養を取ったものの、体調は回復せず、薬を飲み続けるほど体調が悪化してしまったのだそうです。

職場復帰、再発、休養を繰り返しながら8年、抗うつ薬パキシルの他にも、同じSSRIルボックス、SNRIトレドミン、トリプタノールの4種類が処方され、薬漬けになったしまったのです。

マンションの屋上から飛び降りようとしたことも数度、淡々と薬を処方する医者にも不信がつのり、これ以上薬漬けになるのは嫌だと断薬を決心したそうです。

薬を止めた数日後にはだるさや倦怠感が消えるなどの体調の変化が見られ、「不発弾を抱えているような不安」はあるものの、新しい職場で仕事をしているそうです。

 

北里大学の精神科医である宮崎等医師は、

抗うつ薬は効く人に投与すれば効くが、

  • 効果がないのに様子を見ましょう
  • 薬を幾つも変える

といことは全く無意味で、

 抗うつ薬を替えて3つ目の抗うつ薬で効果が出ることはない

と述べています。

 

宮崎医師の元には、「薬を替えても症状が改善しない」と診療を求めてくるうつ病患者が多く、「診て貰った医者の判断が間違っていたのではないか」というような患者も少なくないのだそうだ。

 

軽症のうつ病には薬が効かないことも多い

宮崎医師が指摘するように、うつ病の重症度で抗うつ薬の効果が異なるという論文は数多く見られます。

軽症のうつ病患者では、実薬と偽薬の効果が同じだったという報告(Kirsch et al. 2008, Fourniier et al, 2010)もあるのです。

Antidepressant Drug effects and Depression Severity: A Patient-Level Meta-Analysis

詳しく読む ⇒ 原著論文

 

日本うつ病学会の、治療ガイドラインでも、

初診時には薬物療法を開始せずに、傾聴、共感などの受容的精神療法と心理教育を開始する

とされているのです。

宮崎医師も、

軽症のうつ病患者では、

  1. 生活環境
  2. 職場環境
  3. 人間関係

について良く話を聞き、問題があれば一緒に改善方法を考える、という面接を繰り返すことによって、抗うつ薬を処方しなくても改善することが多いと話しています。

詳しく読む ⇒ 抗うつ薬は8割の患者では効果がない

 

国内のうつ病患者はSSRIの登場で急増

国内のうつ病患者は、2000年頃に、SSRIが新発売されたことにより急増しています。

うつ病患者でも軽症患者では抗うつ薬が効かないことがあります

これについては、前にも書きましたが、某製薬会社がパキセルの販売促進を狙って、

「うつ病は心の風邪」というキャッチコピーを流したことによるともいわれています。

うつ病は心の風邪とは、

 うつ病とは風邪と同じように誰でも罹りやすいもの

という意味もあるのですが、

 うつ病ではパキセルを飲めば直ぐに良くなる

とも受け止められ、

「うつ病は薬で治すもの」と考える精神科医も多く

このような精神科医にかかれば、最初から抗うつ薬の投与が始まってしまうそうです。

 


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良い精神科医を選ぶには

週刊朝日の特集の中で、全国精神保健福祉連合会の小幡幹事長は、

患者側も情報収集ができていない

と指摘しています。

「うつ病かも?」と思ったら、

  • どんな病気なのか?
  • どんあ治療法があるか?
  • どんな医療機関があるか?

といった病気の基礎知識を持たないまま、近所のメンタルクリニックや心療内科で受診する人が多く、

納得のいかない治療を受けてしまう

と指摘しているのです。

全てのクリニックがそうだとはいわないにしても、クリニックの中には、薬を出すだけの処方外来になっている精神クリニックも多いのだそうだ。

精神科は他の診療科に比べて設備投資が非常に少ないので新規開業するケースが多く、また、患者数も多いことから他の診療科に併設するクリニックも多いのだという。

このようなクリニックでは、医師の精神疾患に対する知識や経験が少なく、環境調整やアドバイスだけで症状が改善するような患者にも抗うつ薬を処方してしまうのです。

 

また、当然のことながら、

薬の止めどき、すなわち減薬や断薬に対する知識も少ないことから、漫然と投薬を続けてしまう医師も多いのです。

 

こんな精神科医は避けた方が良い

週刊朝日の特集の中では、宮崎医師のアドバイスをもとに作ったという、こんな精神科医は避けた方が良いとの例を挙げています。

こんな精神科医は避けた方が良い

  1. 最初から同じ系統の薬を複数処方された(SSRI薬を2種類など)
  2. 夜間や休日の診療に全く対応していない
  3. 薬を飲んで休んでいれば良いとだけで、他のアドバイスがない
  4. 診断内容、薬の説明、今後の経過などの説明がない
  5. 質問しにくい雰囲気がある
  6. 症状が悪くなったと言ったら薬だけが増えた

と、6つの注意点を挙げていますが、あなたが受診している医師はどうでしょうか、、、。

 

特集の纏めとして、取材班は、

今回の特集作成において取材した人の全員が口にしたのは

最初に診療を受けた精神科で人生が変わる

ということだったそうです。

特集では、減薬や断薬などについても取り上げていますので、また明日にでもお伝えしましょう。

 


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