抗うつ薬はアルツハイマーや認知症のリスクを高める

今日もご覧になっていただきありありがとうございます。

臨床の経験はないのですが20年以上にわたって製薬会社で新薬の研究開発を行っていた けんぞう です。

今日も科学的根拠に基づいた精神疾患関連の情報をお伝えいたします。

 

はじめに

うつ病の治療では医師とのカウンセリングや生活指導などによってもうつ状態が改善しないときには抗うつ薬が処方されます。

抗うつ薬による薬物治療の目的は、

  • 抑うつ状態
  • 気分の落ち込み

などの、うつ症状を緩和することです。

近年の抗うつ薬は非常に効果が高くうつ状態の改善には顕著な効果がありますが、副作用があるのも事実です。

 

抗うつ薬は痴呆症やアルツハイマーのリスクを高めることが判明した

 

最も処方頻度が高い三環系抗うつ薬といわれる抗うつ薬にもさまぎまな副作用があります

  • 眠気
  • 口渇
  • 便秘

など、多くは中枢神経抑制作用によるものです。

しかし、カナダの研究グループは、

抗うつ薬はアルツハイマーや痴呆症のリスクを高める

との報告をしました。

うつ症状が回復したら、できるだけ薬に頼らず治すことを心掛けた方が良いようです。

 

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抗うつ薬はアルツハイマーや痴呆症のリスクを高める

カナダのサスカチュワン大学の研究グループは、

抗うつ薬はアルツハイマー病や痴呆症のリスクを高める可能性がある

との報告を、

2016年12月28日のDepression and anxiety誌のオンライン版に掲載しました。

The association of antidepressant drug usage with cognitive impairment or dementia, including Alzheimer disease: A systematic review and meta-analysis.

CONCLUSIONS :
Antidepressant drug usage is associated with AD/dementia and this is particularly evident if usage begins before age 65. This association may arise due to confounding by depression or depression severity. However, biological mechanisms potentially linking antidepressant exposure to dementia have been described, so an etiological effect of antidepressants is possible. With this confirmation that an association exists, clarification of underlying etiologic pathways requires urgent attention.

くわしく読む ⇒ 原著論文

 

研究グループは、

Medline、PubMedなど7つの科学論文データベースから、抗うつ薬とアルツハイマー病や認知症などの関係する4,123件の論文を抽出し、

さらに5件の研究に絞り込み、抗うつ薬とアルツハイマー病や認知症などの関係を精査したのです。

 

その結果、

  1. 抗うつ薬の使用は認知症の発症を2倍高めた
  2. 抗うつ薬とアルツハイマー病や認知症との関連には年齢が関与している

ということが明らかになったのです。

 

抗うつ薬とアルツハイマー病や認知症における年齢の関与については、

  • 65歳以上では抗うつ薬使用が認知障害の発症と関連
  • 65歳未満ではさらに強い関連がある

ということも明らかになりました。

 

研究グループは、

  1. 抗うつ薬の使用はアルツハイマー病や認知症の発症と関連している
  2. 抗うつ薬とアルツハイマー病や認知症の発症は65歳未満では特に顕著である

と結論しています。

 


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抗うつ薬は認知症を引き起こす可能性がある

一般社団法人・認知症予防協会でも、

薬の多剤や多量服用等による副作用として認知機能の低下を誘発する可能性がある薬剤として、

  • 抗精神病薬
  • 抗うつ薬
  • 抗不安薬
  • 鎮静薬
  • 睡眠薬

などの薬剤を挙げています。

 

さらに、

アメリカの高齢者を対象とした大規模調査において、

 

抗コリン薬の3年を超す服用で認知症の発症が1.5倍に増加する

 

との報告が2015年1月にJAMA Intern Med誌に掲載されています。

 

Cumulative Use of Strong Anticholinergics and Incident Dementia
A Prospective Cohort Study

Conclusions and Relevance Higher cumulative anticholinergic use is associated with an increased risk for dementia. Efforts to increase awareness among health care professionals and older adults about this potential medication-related risk are important to minimize anticholinergic use over time.

詳しく読む ⇒ 原著論文

 

詳しい内容はまた後日ご紹介しますが、

長期の抗コリン作用の服用は、認知症のリスクの増加と関連しており、
医療従事者と高齢のうつ病患者はこの潜在的な関連に対する認識を高める努力が必要である

としているのです。

 

抗うつ薬の服用は決して否定できるものではありません。

辛いうつ状態から離脱するには抗うつ薬の服用も不可欠です。

しかし、

長期間にわたって抗うつ薬に頼ると認知症のリスクが高まる

可能性があるということを知っておく必要があるのです。

 


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