抗うつ薬は8割の患者では効果がない

先日は「8割の患者は抗うつ薬が効かない」という話をご紹介しました。

アメリカの大規模調査で、

うつ病患者の15.8%がで抗うつ薬の効果が見られなかった

というのです。

国内の調査でも、

30~40%のうつ病患者では抗うつ薬を服用しても十分に改善されない

という報告があるのです。

先週の読売新聞の医療健康サイトであるyomiDr.(ヨミドクター)でも、

抗うつ薬は8割の患者に無意味!?

という特集がありましたのでご紹介したいと思います。

 

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抗うつ薬は8割の患者に無意味!?

 

3月19日の読売新聞の医療健康サイトであるyomiDr.(ヨミドクター)の特集は、

抗うつ薬は8割の患者に無意味!?

というタイトルでした。

 

うつ病の人が増えています。
うつ病の治療薬である「抗うつ薬」も、たくさん使われるようになりました。ところが、8割の人には抗うつ薬は役に立たないといいます。
一体どういうことでしょうか。

というのです。

 

詳しく読む ⇒ yomiDrヨミドクター

 

現在では7種類の抗うつ薬が発売されていますが、1999年にSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)と呼ばれる新しい抗うつ薬が発売され、

従来の抗うつ薬に比べて副作用が少ないとされ、抗うつ薬の売上げ額は約10年で5倍に急増しまし、

うつ病で診療をうけた患者も100万人に達し2.5倍に増加しました。

 

抗うつ薬を飲んでも効果がないうつ病患者が多い

 

詳しく読む ⇒ あなたは本当にうつ病ですか?

 

うつ病では、

  • 気分が落ち込む(抑うつ)
  • 好きなことにも興味がなくなる
  • 何事にも意欲がわかない

といった精神的症状に加え、

  • 食欲がない
  • 眠れない
  • 疲れやすい

という身体的症状も表われます。

 

1999年にSSRIが新発売されたとき、製薬会社は「うつ病は心の風邪」との宣伝をしたことにより、

  1. 気軽に精神科を受診するようになった
  2. 医者は簡単に抗うつ薬を処方するようになった

ことによって、

  1. うつ病患者が急増した
  2. 抗うつ薬の売上げが急増した

のです。

 


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軽症のうつ病には抗うつ薬は効かない

抗うつ薬が簡単に処方されるようになったのですが、

抗うつ薬はそれほど効果があるわけではないのです。

 

2010年にアメリカのペンシルバニア大学の研究グループは、

軽~中症のうつ病には抗うつ薬は効果がない

と報告しています。

Antidepressant Drug effects and Depression Severity: A Patient-Level Meta-Analysis

詳しく読む ⇒ 原著論文

 

この研究では、

うつ病患者を、

  1. 軽~中等症
  2. 重症
  3. 最重症

の3つのグループに分け、

  1. 抗うつ薬を服用したうつ病患者
  2. 偽薬服用したうつ病患者

におけるうつ症状の改善を比較したのですが、

  • 軽~中症と重症のグループでは、抗うつ薬と偽薬での改善度に差がなかった
  • 抗うつ薬の有効性が認められたのは最重症のグループだけ

という結果が得られたのです。

 

さらに、先日ご紹介したように、

アメリカのヤンセン研究所の研究グループは、

3万6,902例の患者における抗うつ薬の有効性を評価し、

うつ病患者の15.8%で抗うつ薬の効果がなかった

と報告しています。

詳しく読む ⇒ 軽症のうつ病には抗うつ薬は効かない

 

 

独協医科大学埼玉医療センターこころの診療科の井原裕教授は、

  • 抗うつ薬で効果があるのはうつ病患者の5人に1人
  • うつ病患者の8割で薬は無意味

と述べています。

 

うつ病の8割で抗うつ薬の効果が見られない

 

実は、軽症のうつ病患者には抗うつ薬の効果がないのは分かっているのです。

日本うつ病学会の治療指針では、

軽症の場合はプラセボに対し確実に有効性を示しうる治療法はほとんど存在しない

と書かれ、

軽症のうつ病患者では薬物療法の効果を否定しているのです。

 

日本うつ病学会の、治療ガイドラインでは、

軽症うつ病の治療計画

全例に行うべき基礎的介入
・患者背景、病態の理解に努め、支持的精神療法と心理教育を行う

基礎的介入に加えて、必要に応じて選択される推奨治療
・新規抗うつ薬
・認知行動療法

として、

初診時には薬物療法を開始せずに、傾聴、共感などの受容的精神療法と心理教育を開始する

としているのです。

 

しかし、実際には、

  • 初診の患者にも抗うつ薬を処方し、
  • 軽症うつ病患者でも複数の抗うつ薬が処方されている

のです。

 

うつ病の改善には睡眠と運動

yomiDrヨミドクターでは、

抗うつ薬より良い睡眠と運動を

と紹介しています。

 

独協医科大学埼玉医療センターこころの診療科の井原裕教授は、

うつ病の治療は薬物療法より生活習慣の改善の方が重要だとして、

  • 1日7時間
  • 1週間で50時間

の睡眠をとることを勧めています。

週50時間の睡眠を確保すればうつ病は改善されていく

というのです。

 

さらに、

良い睡眠をとるには適度な運動も必要で、

肉体の疲労は良い睡眠を促すとして1日7,000歩の歩行を勧めています。

 

軽症のうつ病には抗うつ薬は効かないの記事でご紹介した、

 

軽症のうつ病には抗うつ薬は効かないという論文があります

 

では、

最初に診療を受けた精神科で人生が変わる

と結論しています。

 

独協医科大学埼玉医療センターこころの診療科では、

薬に頼らない治療

を実践しています。

国内の大学病院で唯一の「薬に頼らない精神科」が特徴で、

薬物療法偏重(いわゆる薬漬け)の現状に抗し、

  1. 療養指導
  2. 精神療法

を中心とした治療をめざし、

外来患者の40%前後は「薬なし」だそうです。

 

あなたも抗うつ薬に頼りすぎていませんか?

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