うつ病は認知症になりやすい

今日もご覧になっていただきありありがとうございます。

臨床の経験はないのですが20年以上にわたって製薬会社で新薬の研究開発を行っていた医学博士の けんぞう です。

今日も科学的根拠に基づいた精神疾患関連の情報をお伝えいたします。

 

はじめに

高齢者におけるうつ病の初期症状は認知症と大変に似ているといわれています。

  • 認知症かと思われたが詳しく調べてみたらうつ病だった
  • うつ病だと思われたが実は認知症だったと

いう例が少なくないのです。

 

さらに最近の研究では、

 高齢者のうつ病は認知症の原因になる

ということも明らかになっており、

 老人性うつ病は仮性認知症

ともいわれ、老人性うつ病は認知症と非常に見分けにくいのですが、

 

若いときのうつ病を適切に治療しないと認知症になるリスクが高い

ということも明らかになり、

認知症の発症には若いときのうつ病も関与しているのです。

 

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若い人のうつ病は認知症のリスクを高める

日本人の生涯におけるうつ病の有病率は、

  • 女性では 10~25%
  • 男性では  5~12%

と、女性では4~5人に1人が生涯でうつ病になるといわれています。

 

一方、日本における認知症の患者数は550万人といわれ、高齢者と言われる65歳以上では15%に相当します。

さらに、認知症の予備軍ともいわれる軽度認知障害も400万人おり、

65才以上の4人に1人が認知症か軽度認知障害なのです。

 

認知症は、

  1. アルツハイマー型 : 66%
  2. 脳血管性 : 20%
  3. レビー小体型やその他 : 14%

に分けられるのですが、

 

 

ヨーロッパの研究では、

  •  うつ病患者2,220人を
  •  6年間追跡調査

したところ、

 うつ病から軽度認知障害へ移行し最終的にアルツハイマー型認知症に移行した人85%

だったが、

 うつ病でない人が軽度認知障害になったのは32%

だったと報告しています。

 

このように、

若い年齢でうつ病になった人は将来的にアルツハイマー型認知症になりやすいという多くの疫学調査結果が明らかになっています。

 

東京医科歯科大の朝田隆特任教授は、10月19日の朝日新聞で、

 特に20~40代のうつ病は適切な治療を受けることが重要だ

とコメントしています。

 

その原因は明確なことは分かっていないとしながらも、

うつ病患者ではストレスに対抗するコルチゾールというホルモンが副腎から慢性的に分泌されているが、

  • コルチゾールには神経に対する毒性があるため脳神経にダメージを与えること
  • うつ病ではBDNFという脳神経細胞の成長を促す物質が不足状態にある

という2つの原因が考えられるとコメントしています。

 


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認知症もうつ病も食事で予防できる

アメリカの国立保健研究所(NIH)は、

  1. 運動習慣
  2. 果物と野菜の多い食事
  3. 社会交流
  4. 知的な活動

は、アルツハイマー型認知症の予防に役立つ可能性があるとしていますが、

これらは、うつ病の治療やうつ病の予防にも効果があるのです。

 

東北大学の遠又教授らの研究グループは、

 日本食を食べている人では認知症が20%少ない

という研究成果を発表しています。

 

New MIND Diet May Significantly Protect Against Alzheimer’s Disease

 

詳しく読む ⇒ コチラ

 

研究グループは、

  • 65歳以上の高齢者1万4,402人を
  • 5.7年間追跡して調査した

のです。

 

追跡期間中に

  • 1,296人(9.0%)が認知症を発症

したのですが、

 

魚・野菜・海草・漬物・大豆製品・きのこ・いも・果物などを多く摂取している人では、

肉や乳製品などを多く摂っている人に比べて、

認知症の発生リスクが20%低かった

という結果が得られたというのです。

 


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日本食はうつ病にも良い

日本食はうつ病にも非常に良いのです。

 

「うつ病には果物と野菜や日本食が良い」でも紹介したように、

国立国際医療研究センターの研究グループは、

 

野菜や果物、きのこ、海藻、大豆製品、緑茶などが多い日本食を多く摂っている人ほど抑うつ症状が少ない

詳しく見る ⇒ うつ病には果物と野菜や日本食が良い

ことを発表しています。

 

うつ病の発症には、

  • 生活スタイル
  • ストレス
  • 睡眠不足

など、多くの要因が関与しているのですが、

最近の研究では、

うつ病の発症には食習慣や生活スタイルなどが深く関わっていることが明らかになっており

 うつ病は生活習慣病

だともいわれているのです。
詳しく読む ⇒ うつ病は生活習慣病

 

さらに危惧されるのは、

抗うつ薬はアルツハイマーや認知症のリスクを高める

ということです。
カナダのサスカチュワン大学の研究グループは、

  1. 抗うつ薬は認知症の発症と関係がある
  2. この関係は65歳未満で特に明らかである

と報告しています。

 

詳しく読む ⇒  抗うつ薬はアルツハイマーや認知症のリスクを高める

 

 

うつ病における薬物療法は決して否定できるものではありませんが、

 抗うつ薬はアルツハイマーや痴呆症のリスクを高める可能性がある

ということも頭に入れておく必要がありそうです。

 

辛いうつ状態では抗うつ薬の服用が非常に有効です。

しかし、

長期間にわたって抗うつ薬に頼ることは認知症のリスクを高めてしまうようなのです。

 

今回ご紹介したように、

  • うつ症状を放置しない
  • 抗うつ薬に頼りすぎない

ということも非常に重要なことなのです。

 

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