産後うつは出産後2週間に要注意

国内では出産した女性の10人に1人が産後うつなるといわれています。

産後うつは、妊娠や分娩に伴うホルモンの変化などが原因ですが、多くの場合、自然に回復するのですが、

東京23区では2005~2014年の10年間に自殺で亡くなった妊産婦が63名に上ったことが明らかになり、

妊産婦の自殺の原因には産後うつの影響も大きいとして、

日本産科婦人科学会や日本産婦人科医会は産後うつに関する具体的な対策を始めました。

 

厚生労働省がおこなった妊産婦を対象にした全国調査で、

産後2週内に

  • 体のトラブル
  • 疲れ
  • 睡眠不足

など不安のピークが高くなることが明らかになりました。

産後うつ病を予防するには分娩後2週間のケアが重要のようです。

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産後2週間以内に不安が高まる

妊娠や出産では体内のホルモンバランスの変化や精神的な緊張などから、

妊産婦は精神的に不安定になりがちなのです。

 

厚生労働省は、

妊産婦のメンタルヘルスケアに特化した、

出産後の女性を対象としたアンケート調査を

おこないました。

 

この調査は、妊産婦の心のケアにつなげようとしたもので、

昨年11月から今年の1月まで、

  • 札幌、千葉、長野、神戸など全国12市で、
  • 産後3~4ヵ月の女性
  • 4,541人

を対象にして行われたのですが、

 

4月10日、読売新聞はその概要を明らかにし、

 

  • 不安や負担を感じるのは産後2週以内がピーク
  • 半数以上が体のトラブルや疲れに不安を抱いている

 

ことが判明したと報じています。

詳しく読む ⇒ MedicalTribune

 

 

アンケートでは40%の1,900人から回答が得られましたが、

 

  • 産後2週以内に体のトラブルを感じた人は56%と最も多く、

それに次いで、

  • 妊娠・出産・育児による体の疲れ: 53%
  • 十分な睡眠がとれない : 54%

だったそうです。

 

産後うつに注意するなら分娩後2週間が最も大事

さらに、

孤独だと感じる人も産後2週未満で12%と最高だったそうです。

 

これらの体の不調を訴えた人を年齢別で見ると、20~24歳が17%で最も多く、

他の年代を4~11ポイントも多かったそうです。

 

厚生労働省は、

妊産婦の心の健康に特化した全国調査は初めてで、

この結果を産後うつなど精神的に不安定になりやすい時期の心のケア充実に生かしていくとしています。

 


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産後うつでは自殺念慮が多い

産後うつ病が多いのは日本だけではありません。

アメリカでも産後1年間のうつ病の発症率は約22%で、14%は治療に至っているといわれています。

 

アメリカのノースウェスタン大学の研究グループは、

出産した女性1万人を対象に産後うつのスクリーニングをおこない、

  1. 産後4〜6週では10%以上の産婦がうつ病
  2. そのうち23%が双極性障害

であったと報告しています。

 

Onset Timing, Thoughts of Self-harm, and Diagnoses in Postpartum Women With Screen-Positive Depression Findings

詳しく読む ⇒ 原著論文

 

双極性障害とは、躁状態とうつ状態が交互に現れる疾患で、うつ状態ではうつ病とほとんど見分けがつかないのですが、

双極性障害のうつ状態では抗うつ薬は全く効果がないのです

( 詳しく見る ⇒ うつ病と双極性障害は違う

 

分娩後の1万人の女性のうち、

産後うつと診断された女性は 1,396人で、

 

精神疾患の兆候が見られた時期は、

  1. 産後4週以内 : 40.1%
  2. 妊娠中    : 33.4%,
  3. 妊娠前    : 26.5%

と、産後4週間以内が最も多く、

 

研究グループは、産後4〜6週間時点でうつ病のスクリーニングを行うことが最も産後うつ病のスクリーニングに有効だとしています。

 

産後うつ病では自殺念慮が高い

国内の調査でも、

東京23区で2005~2014年の10年間に自殺で亡くなった妊産婦が63名に上るなど、

産後うつ病では自殺にいたる例が多いのですが、

詳しく読む ⇒ 産後うつによる妊産婦の自殺が多い

 

 

上に紹介した、アメリカのノースウェスタン大学の研究グループの調査でも、

産後うつの85%で自傷念慮が認められた

と報告しています。

 

産後の女性1万人中319人(3.2%)で自傷念慮認められたのですが、

319人中270人(84.6%)は産後うつ病の女性だったのです。
厚生労働科学研究の研究班の調査では、

メンタルヘルスケアが必要な妊産婦の数は、全妊産婦の4%に相当する4万人と推定されており、

何らかのケアが必要だといわれているのですが、

年代別では、

  • 24歳以下
  • 35歳以上

で多い傾向があるといわれているのです。

 

産後うつ病は誰にでもなる可能性があり、多くの場合は自然に解消するので、

必要以上に心配することはありません

 

母乳授乳することは産後うつ病の予防になることも明らかになっており、

共稼ぎでは産後うつになりやすいともいわれ、

不安や心配事を自分独りにしまい込まずに周りの人に打ち明けることも大事なのです。

 


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