マタニティーブルーから産後うつ病になるのを防ぐには

ご覧になっていただきありありがとうございます。

臨床の経験はないのですが20年以上にわたって製薬会社で精神疾患の新薬の研究開発を行っていた医学博士の けんぞう です。

今日も科学的根拠に基づいた精神疾患関連の情報をお伝えいたします。

 

はじめに

マタニティーブルーという言葉を良く聞きますね。

マタニティブルーとは子供を産んだ後にうつ気分になることです。

マタニティーブルーは多くの妊婦さんが経験することですが、産後うつ病とは異なります。

では、

マタニティーブルーと産後うつ病の違いをご存じですか?

マタニティーブルーは2週間くらいで自然に解消するのですが、

実は、マタニティーブルーから産後うつ病に移行してしまうヒトが非常に多いのです。

マタニティーブルーから産後うつ病への移行を防ぐには、、、

少しのことを気を付けるだけで良いのです。

 

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マタニティーブルーと産後うつ病の違い

マタニティブルーという言葉はよく耳にします。

また、産後うつ病という言葉も良く聞きます。

マタニティーブルーと産後うつビュの違いをご存じですか?

マタニティーブルーとは

マタニティーブルーとは、正確にはマタニティーブルーズというようです。

日本産婦人科学会の、「研修医のための必修知識」(http://www.jsog.or.jp/PDF/54/5407-202.pdf)では、

分娩直後から産後7~10日以内にみられ,主に 2 ~ 4 日を発症のピークとする一過性の情動障害と定義される.いわゆる「疾病」として取り扱う必要はないとされているが,精神症状として,涙もろさ,不安感,焦燥感,緊張感,抑うつ気分,集中力欠如などが現れ,身体的には易疲労感,食欲不振,頭痛などを訴える.通常は無治療でも発症から数日以内にはこれら症状は完全に消失する.わが国でのマタニティーブルーズに関する報告では,頭痛などの身体症状が優位にみられるとされており,その頻度は10~25%といわれてきた.しかし近年の検討では,約30%という発症頻度が報告されている。

と、「一過性の情動障害」としています。

一方、産後うつ病は、「産褥精神病」と定義しています。

産褥は、「さんじょく」と読み、分娩後から妊娠前の身体に戻るまでの女性の身体の状態のことを指します。

産褥精神病は、

発症の頻度は約3%と推定されている.多くは産後 1 カ月までに急激に発症し,軽いうつ状態から精神科入院を要する重症まで幅広い病態があり,その予防や早期診断,治療のためには,産科スタッフの理解が不可欠である.一般的に予後は良好で,適切な対応と薬物治療,入院治療などによって,大多数例は数カ月~1年で軽快する.

と定義しています。

産褥精神病には、「産後うつ病」と「その他の産褥精神病」とがあるのですが、その他の産褥精神病は、神経症様状態,非定型精神病状態などの症状精神病を指しますが、産褥精神病の多くは産後うつだとしています。

産後うつ病は、

最も高頻度(産褥精神病の約半数)にみられ,基本的には妊娠以外の時期にみられるうつ病と同じく,訴えの根底には強い抑うつ感情がある.産後うつ病の多くは産科退院後に顕性化し,育児への不安,家事への不満と焦燥感,児の発達や健康についての過剰な心配,母親としての自信喪失などがその訴えとして特徴的なものである.しかしこれらは程度の差こそあれ,ほとんどの産褥期女性に内在する問題であるため,家族はもとより産科医あるいは小児科医,助産師,看護師などにも当初は異常として認識されず,診断が遅れて重症化することが問題とされている.

としています。

マタニティーブルーと産後うつ病の発生頻度

「研修医のための必修知識」では、

マタニティーブルーの発生頻度は約30%の発症頻度

とされています。

一方、

産後うつ病の発生頻度は、「産褥精神病の発症の頻度は約3%と推定される」として、

「産褥精神病の約半数」としていますので、

3%の半数ですから、1.5~2%程度ということになるのでしょうか。

マタニティーブルーと産後うつ病の違い

日本産婦人科学会の、「研修医のための必修知識」の中では、

  1. 「マタニティーブルーズ」と呼ばれる軽度のうつ状態が好発
  2. マタニティーブルーズは産褥初期に一過性にみられる生理的なもの
  3. 産褥精神病は,多くは産後 1 カ月以内に発症する病的なもの

と記載していますがら、マタニティーブルーは誰でも見られやすい生理的な現象で、産後うつはマタニティーブルーが進行した病的状態だということになります。


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マタニティーブルーから産後うつ病へ移行

一般社団法人日本家族計画協会では、

「日本人は2人に1人の確率でマタニティブルーになるというデータもあり、こうした状態は病気ではなく、ほとんどの方は10日~2週間もすれば自然に治るもの」

と述べています。

また、厚労省は

「産後の23%でマタニティーブルーが見られた」

との調査報告をだしており、

最近では、出産を経験した女性の半数もの方がマタニティーブルーを経験するといわれています。

上にも書きましたように、日本産婦人科学会では、

  • マタニティーブルーは、分娩直後から産後7~10日以内にみられ 2 ~ 4 日を発症のピーク
  • 産後うつ病は多くは産後 1 カ月までに急激に発症し

と、発症時期に差があることを明記しています。

マタニティーブルーは出産後直ぐに、産後うつ病は、出産後2~3週間後から始まるのが普通で、マタニティーブルーの10%前後の人が産後うつ病に移行すると言われています。

  • マタニティーブルーがなかなか解消しない
  • マタニティーブルーが長く続く

と感じたら、産後うつ病に移行しているのではないかと疑う必要があります。

 

マタニティーブルーから産後うつ病への移行を防ぐ

産後うつ病になりやすい人の性格は、

  1. 完璧主義のヒト
  2. 真面目で努力家
  3. 責任感が強いヒト

だそうですが、貴女はどうでしょうか?。

もし、自分で、「完璧主義」、「努力家」、「責任感が強い」と思っているのであれば、

マタニティーブルーから産後うつ病へ移行しやすい人だといえます。

マタニティーブルーから産後うつ病に移行しないためには、

産後うつ病になりやすい人の性格は、

  1. 完璧主義 → 余り完璧を求めない
  2. 真面目で努力家 → 適当に手抜きもする
  3. 責任感が強い → 他の人に頼る

というように、少し気楽に考えてみたらいかがでしょうか。

詳しく見る ⇒ 産後うつ病の症状をチェックして自己診断


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