産後うつ病の自己診断をしてください

ご覧になっていただきありありがとうございます。

臨床の経験はないのですが20年以上にわたって製薬会社で精神疾患の新薬の研究開発を行っていた医学博士の けんぞう です。

今日も科学的根拠に基づいた精神疾患関連の情報をお伝えいたします。

 

はじめに

産後うつ病が新聞やテレビで大きな話題になっています。

産後うつ病で自殺する妊産婦が多いことが分かったからです。

産後には多くの妊産婦がマタニティーブルーに陥るのですが通常は2週間程度で解消します。

しかし、マタニティーブルーから産後うつ病に移行してしまう妊産婦が増えているのです。

もし、マタニティーブルーが長く続く、、と感じたら、

産後うつ病の自己診断をしてください。

産後うつ病を放置しておけば、育児や母子関係に悪影響が出てしまうのです。

それからでは遅いのです。

 

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マタニティーブルーと産後うつ病は違う

厚労省の調査では妊産婦の23%でマタニティーブルーが見られたとの報告がありますが、

最近では、出産した女性の半数でマタニティーブルーがみられるといわれています。

 

マタニティーブルーとは、産後に、

  • 訳もなく、悲しい気持ちがこみ上る
  • 理由もなく涙が出る
  • やる気が出ずにボンヤリしてしまう
  • なぜか不安を感じて眠れなくなる

というような、産後の情緒不安定がマタニティブルーです。

 

マタニティーブルーは、

  • 出産後3日~5日の間に見られる
  • 10日~2週間で自然に解消する

ものですから必要以上に心配することはありません。

 

マタニティーブルーは出産に伴うホルモンの急激な変化や分娩後の緊張の緩和などによってみられる生理的な現象なのです。

 

一方、

産後うつ病は通常、分娩2~3週間後から始まるのが普通です。

マタニティーブルーから10%の前後の女性が産後うつに移行すると言われています。

  • マタニティーブルーがなかなか解消しない

と思ったら、産後うつに移行しているかも知れません。

先日の毎日新聞やTBSテレビでも放送されましたが、

東京都23区内で過去10年間に産後うつ病によって63人が自殺したというのです。

詳しく見る ⇒ 産後うつによる妊産婦の自殺が多い|毎日新聞

産後うつ病も早く気づいて手当をすればそんなに難しいことはないのです。

 


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産後うつ病を自己診断するサイト

マタニティーブルーが長く続くと感じたら、産後うつの自己診断をしてみてください。

産後うつでは自殺する人も多いからです。

しかし、赤ちゃんを抱えて病院に行くのはなかなか大変ですし、産後直ぐに精神科に行くのも抵抗を感じることでしょう。

産後うつを自己診断するサイトはインターネット上にたくさん有ります。

その中で、お薦めのサイトを紹介しましょう。

 

(NPO法人)きずなメール・プロジェクト

きずなメール・プロジェクト(http://www.kizunamail.com/)は、

副代表である松本さんが、妊娠中読んだ、1996年の発売以降100万部以上を売り上げている「The Pregnancy Journal」に感動し、

日本語版The Pregnancy Journalである「はじめての妊娠・出産 安心マタニティブック」の出版したのですが、

多くの妊婦さんに支持してもらったことが切っ掛けになって生まれた、非営利活動法人です。

「きずなメール」は、「妊産婦さんやそのパートナーに、健康で充実した妊娠・出産の時期を過ごしてもらいたい。前向きな気持ちでその後育児に向き合ってもらいたい」という想いでつくられた子育て支援メールサービスです。

 

メール・プロジェクトのサイトでは産後うつの自己診断ができます。

この自己診断法は、エジンバラ産後うつ病自己評価票(Edinburgh Postnatal Depression Scale:以下EPDS)というもので、1987年にイギリスで開発され、その後20ヵ国以上の言語に翻訳されて世界中で使われている問診票です。

 

下記の、10項目の質問に

  1. はい、たいていそうだった
  2. はい、時々そうだった
  3. いいえ、あまり度々ではなかった
  4. いいえ、全くそうではなかった

という4つの回答の中から、「最近1週間の自分の状態」を答えるのです。

 

  1. 笑うことができたし、物事の面白い面もわかった。
  2. 物事を楽しみにして待った。
  3. 物事がうまくいかなった時、自分を不必要に責めた。
  4. はっきりとした理由もないのに不安になったり、心配したりした。
  5. はっきりとした理由もないのに恐怖に襲われた。
  6. することがたくさんあって、、、、
  7. 不幸せな気分なので、、、
  8. 悲しくなったり、、、、
  9. 不幸せな気分だったので、、、、、
  10. 自分自身を傷つけるという考えが、、、、

30点満点で評価し、

9点以上は産後うつ病が疑われます

点数が高いほど産後うつ病の可能性が高くなります。

 

なお、エジンバラ産後うつ質問票は確定診断ではありませんが、自分は産後うつの可能性が高いのどうかをある程度推測できるので、まずはこの検査をしてみることをお薦めします。

エジンバラ産後うつ質問票は、無断転載が禁じられているためここでは全てを紹介できませんので、下記のきずなメール・プロジェクトのサイトで自己診断してください。

産後うつを自己診断する ⇒  自己診断サイト

産後うつ病の診断

産後うつは、「産後に生じるうつ病」で、基本的な症状や診断はうつ病と変わりません。

参考までにDSM-5のうつ病の診断基準を紹介します。

DSM-5は、精神障害の診断と統計マニュアルは、アメリカ精神医学会によって出版された書籍で、精神障害の分類のための共通言語と標準的な基準を提示するマニュアルです。

  1. 抑うつ気分
  2. 興味または喜びの著しい低下
  3. 食欲の増加または減少、体重の増加または減少(1か月で体重の5%以上の変化)
  4. 不眠または過眠
  5. 強い焦燥感または運動の静止
  6. 疲労感または気力が低下する
  7. 無価値感、または過剰・不適切な罪責感
  8. 思考力や集中力が低下する
  9. 死について繰り返し考える、自殺を計画するなど

上記の9項目について、

  1. 最近2週間の間に、
  2. 5つ以上の項目が、ほとんど毎日感じられ、
  3. 社会的あるいは職業的に障害を引き起こしている

場合には、うつ病と診断されるのです。

これは産後うつでも同じで、産後にこれらの基準を満たしている場合には、産後うつと考えられます。

 

産後に精神的な不調や落ち込みを感じても、なかなか精神科や心療内科を受診しようという気持ちにはなれません。

育児で忙しいのに精神科に行く時間は無いし、赤ちゃんを抱いて精神科になど行きたくはないというのが本心です。

 

しかし産後うつの発症率は10~15%と決して稀な病気ではないのです。

気になる症状があれば、放置せずに受診をし、適切な治療を受ける方が貴女にも赤ちゃんのためでもあるのです。

産後うつ病を放置しておけば、育児や母子関係に悪影響が出てしまい、それからでは遅いのです。

 


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