うつ病のrTMS磁気刺激療法が薬事承認された

今日もご覧になっていただきありありがとうございます。

臨床の経験はないのですが20年以上にわたって製薬会社で新薬の研究開発を行っていた医学博士の けんぞう です。

今日も科学的根拠に基づいた精神疾患関連の情報をお伝えいたします。

 

はじめに

うつ病の治療法には、

  • 休養療法
  • 薬物療法
  • 精神療法

などの治療法がありますが、

これらの治療でもうつ症状の改善が見られない患者が30%はいるといわれています。

獨協医科大学越谷病院のこころの診療科・井原裕教授は、

「うつの8割に薬は無意味」

という本を出版しており、うつ症状に悩む人にとっては目の前が暗くなるのですが、

つい最近、

rTMS磁気刺激療法が薬事承認されました。

磁気刺激療法では、

薬物療法で効果がないうつ病患者でも

寛解率は30~40%で寛解の3ヵ月間維持は60%

だという好成績が得られています。

薬事承認されたrTMS磁気刺激療法をご存じですか?

 

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うつ病におけるrTMS磁気刺激療法が薬事承認

獨協医科大学越谷病院のこころの診療科・井原裕教授は、

「うつの8割に薬は無意味」

という本を出版しています。

 

抗うつ薬は、三環系、四環系、SSRI、SNRIなどに分類されますが、

これらを処方した場合の薬の効能を示す指標であるNNTは7~8、

つまり、抗うつ薬の効果があるのは7~8人のうち1人だというのです。

 

うつ病に苦しむ人には目の前が真っ暗になるような話なのですが、

うつ病の新しい治療法が厚労省によって承認されました。

 

この治療法は、

反復経頭蓋磁気刺激(rTMS)

と呼ばれる治療法で、

脳に外部から磁気による刺激を与えることでうつ症状を改善する治療法です。

 

薬事承認された難治性うつ病のrTMS磁気刺激療法は期待が大きい

 

厚労省は2017年9月に医療機器の薬事承認をおこない、

うつ症状が中等症以上で薬物療法が効かないうつ病患者を対象として、

2018年中には保険適用される見通しです。

 

東京慈恵会医科大学の鬼頭伸輔准教授は、うつ病患者への反復経頭蓋磁気刺激(rTMS)を約150例施術した実績を持つ日本での第一人者ですが、

薬物療法で効果がないうつ病患者でもrTMSが有効である

としており、

抗うつ薬による薬物療法で改善が見られず長期間うつ症状に苦しむうつ病患者の治療へ適用される日も間近なのです。

 

施術例として、

40代の会社員Aさんは、1年前にうつ病と診断され休職。

抗うつ薬により症状が軽減したので、復職支援制度を利用して職場復帰。

しかし、うつ病が再発して再び休職。

大学病院で薬物療法に反復経頭蓋磁気刺激(rTMS)を併用して治療。

約6週間の治療で抑うつ気分や意欲低下などの症状が低減し、2ヵ月後に職場復帰しその後は順調に仕事を続けているといいます。

 


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うつ病のrTMS磁気刺激療法とは

うつ病の治療では、

  • 休養
  • 薬物療法
  • 精神療法
  • 環境調整

などの治療法がとられますが、

これらの治療でもうつ症状の改善が見られない患者が30%はいると見られ、難治性うつ病の治療法として磁気刺激療法が注目されているのですが、

 

この新しい治療法の正式な名前は、

反復性経頭蓋磁気刺激法(repetitive transcranial magnetic stimulation;rTMS)

というものです。

 

この療法は、

磁場を連続的にパルス状に発生させるコイル装置を患者の頭部に近づけるという簡単な方法です。

  • 磁場の働きによって生じた渦状の電流が頭蓋骨の内部まで浸透し
  • 脳神経細胞に刺激を与える

というものです。

 

 

8の字型の形をしたコイルから垂直方向に磁気が発生して無痛性に脳を局所的に刺激するのです。

 

薬事承認された反復頭蓋磁気刺激療法はうつ病患者に朗報

 

うつ病患者では、脳の左前方の領域の機能が低下していることが多く、

神経細胞の間で情報を伝えるドーパミンなどの神経伝達物質の分泌が弱くなっているのですが、

 

脳を磁場によって反復して刺激することにより神経の働きを改善するのです。

 

具体的な治療期間は、

  1. 1秒当たり10回の磁気パルス刺激を1日1回40分程度与え、
  2. 1週間に5日実施し、
  3. 4~6週間にわたって継続する

というもので、

 

通院によっての治療が可能ですから患者の時間的負担も比較的軽くて済みそうです。

 

磁場が発生するため、

人工内耳やペースメーカーなどの金属がある場合には治療が出来ませんが、

 

副作用は、

  • 頭痛      : 32~47%、
  • 刺激部位の疼痛 : 25~36%

などの軽いものだけしか報告されていませんから、安心です。

 

 

厚労省に提出された国内臨床研究の成績では、

薬物療法が未経験のうつ患者では、

  • 寛解率は15~20%

 

薬物療法で効果がないうつ病患者では、

  • 寛解率は30~40%
  • 寛解が3ヵ月間維持した患者は60%

 

と報告されていますから、かなりの治療効果が期待できるようです。

 

反復経頭蓋磁気刺激(rTMS)は、

うつ病と神経因性疼痛に有効であるほか、

脳梗塞後のリハビリテーション、パーキンソン病、ジストニア、耳鳴りなどにも適用されています。

 

 

 

現時点でも反復経頭蓋磁気刺激(rTMS)を施術しているクリニック等はありますが、

保険が適用されていないためやや費用が高額(クリニックにより異なる)になります。

しかし、

もうすぐ反復経頭蓋磁気刺激(rTMS)を健康保険で治療を受けることも可能になるのです。

 


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