太った人は痩せた人よりうつ病になりやすい?
うつ病の人のイメージは“肥満”でしょうか“痩せ”でしょうか?。
うつ病では、
- やる気が出ない、、
- 何もやる気がしない、、
- 食欲もない、、
という症状から、痩せているイメージがあるかもしれませんが実際は肥満の人が多いと言われます。
うつ病の原因の一つはストレスですが、
- ストレス晴らすために過食になったり、
- やる気が出なくて運動不足になったり、
うつ病の人は肥満になる要素が多いのです。
しかし、
うつ病の人は「太るのは抗うつ薬のせいだ」と肥満を薬の副作用だとする人も多いのですがはたしてそうでしょうか?
うつ病と肥満に関する興味深い論文がありましたのでご紹介したいと思います。
減量で肥満を解消するとうつ病が治る
オーストラリアのシドニー大学の研究グループは、
うつ病患者が減量したらうつ病が治った
という興味深い論文を発表しています。
これは、2017年9月にClinical obesityという医学雑誌に掲載されたもので、
「うつ病と肥満の関係におよぼす減量の効果を評価する」
というようなタイトルです。
Examining the association between depression and obesity during a weight management programme.
詳しく読む ⇒ コチラ
研究グループは、
“肥満者におけるうつ病の有病率は正常体重者に比べて2倍も高い”とする研究報告も多く、
肥満とうつ病には密接な関係があることは明らかで、
さらに、うつ病が体重増加や肥満を引き起こすことも知られている、
として、
うつ症状と体重変化との関連性を調査したのです。
研究では、
- うつ病患者 70人(年齢45.4±11.1歳、女性63%)
について、
- 3ヵ月間の
- 食事と運動による減量プログラム
をおこなわせ、
その後も12ヵ月間に亘って追跡調査したのです。
その結果、
開始時の肥満度は、
- BMI : 31.1±3.9kg/m2、
- 体重 : 89.4±16.1kg、
でしたが、
体重の減少は、
- 3ヵ月 : 5.2±4.3%減少
- 12ヵ月 : 4.2±6.1%減少
うつ病は、
- 12ヵ月の調査でBDI-IIスコアが有意に低下した
という結果が得られたのです。
そして、
体重が0.4%減少するとBDI-IIスコアが1単位減少する
という関係が認められたそうです。
0.4%減少で1単位減少ということは、
70kgの人が280gの減少で1単位、1.1kg減少でうつ病が4単位軽減するということです。
BDI-IIスコアというのは、Beck Depression Inventory (ベックうつ病調査表)のことで、
21項目に答えてうつ病を自己判断する自己診断方法です。
くわしく見る ⇒ ベックうつ病調査表
研究ループは、
うつ病肥満患者における体重減少は、気分改善と関連しており、3ヵ月の減量プログラムの終了後も持続することが明らかになったとコメントしています。
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太った人は痩せた人よりうつ病になりやすい?
シドニー大学の研究グループも、
肥満者におけるうつ病の有病率は正常体重者に比べて2倍も高い
としているのですが、
太った人は痩せた人よりうつ病になりやすいのでしょうか?
韓国のソウル大学の研究グループは、
体重とうつ病との関連についての調査結果を2017年4月にThe British journal of psychiatry誌に発表しています。
Association between body size, weight change and depression: systemic review and meta-analysis.
詳しく読む ⇒ コチラ
研究では、
うつ病と体重に関する183件の研究論文から目的にかなった信頼性のある76件の研究論文を抽出し、システマティックレビューとメタ解析を行ったのですが、
その結果、
(統計解析結果が煩雑なので簡単に結論だけを書きますと、)
- 低体重の人と肥満の人の両方でうつ病のリスクが高い
- 肥満とうつ病との関連は性別によって異なる
との成績が得られたと報告しています。
要するに、
- 肥満の人はうつ病のリスクが高い
- 痩せすぎの人もうつ病のリスクが高い
- 肥満の女性はうつ病のリスクが高い
ということだったのです。
うつ病の人には痩せているイメージがあるかもしれませんが、
実際はうつ病の人は太っている人が多いのです。
国立精神・神経医療研究センターの功刀部長は、
- ストレスを晴らすために過食になってしまう
- 運動不足で肥満になってしまう
とのべています。
食事も、
- 栄養のバランス良く摂る
- 規則正しく朝昼晩と摂る
ことが大事だとしています。
うつ症状の時の食事の特徴は、
- 食事を準備する気力がなく朝食を食べずにすましてしまう
- 昼食や夕食は外食やコンビニが多く炭水化物の摂り過ぎる
- 夜眠れないときにスナック菓子などを食べてしまう
ということが多く、肥満に拍車を掛けてしまうのだそうです。
国立精神・神経医療研究センター・栄養管理室長の今泉博文氏は、
一番多いのは朝食を抜いているパターンで、精神疾患患者の7~8割は朝食を食べていない。
朝食を食べていないことが長期間続くと生活習慣病になりやすい。
抗うつ薬には体重増加の副作用がある薬は確かに存在するが、
活動量が少ない割に食事からのカロリーの摂取量が多いことが関係している
と述べています。
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