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    Categories: うつ病とはうつ病の診断

うつ病は双極性障害と間違われやすい

双極性障害(そうきょくせいしょうがい)は、かつては、躁うつ病、双極性感情障害、双極症などと呼ばれていた病気です。

双極性というように、

  • 気分が高揚した躁(そう)状態
  • 気分の落ちこんだ鬱(うつ)状態

をくり返す病気ですが、

うつ状態の症状はうつ病の症状と非常に似ており

杏林大学の研究グループは、

双極性障害と診断されるまで平均4年かかっている

との研究結果を明らかにしました。

  • うつ病と診断されて服薬しているがなかなか改善しない
  • うつ状態と改善がくり返す

ということであれば、双極性障害の可能性もあるのです。

躁状態とうつ状態がくり返すのであれば症状を医者に正確に伝える必要があります。

 

 

うつ病と双極性障害は違う

双極性障害(そうきょくせいしょうがい)は、かつては、躁うつ病、双極性感情障害、双極症などと呼ばれていた病気です。

双極性というように、

  • 気分が高揚した躁(そう)状態
  • 気分の落ちこんだ鬱(うつ)状態

をくり返す病気で、

うつ病とともに「気分障害」のカテゴリに含まれる精神疾患(日本精神病学会)です。

しかし、双極性障害とうつ病は違った病気なのです。

くわしく見る ⇒ うつ病と双極性障害の違い

 

双極性障害とは

 

双極性障害は、

  • 双極Ⅰ型
  • 双極Ⅱ型

に分けられますが、

その違いは、

躁状態の激しさにより、

双極Ⅰ型では激しい躁情態がみられます。

 

 

双極性障害における躁状態

双極性障害における躁情態では、気分が高揚して、

  • 誰かれかまわず話しかける
  • 眠らずに動き回る

などと非常に活動的になります。

 

特に躁状態が激しい、双極Ⅰ型では、

  1. 高額のローンを組んで買い物をする
  2. ギャンブルに全財産をつぎ込む
  3. 上司と大ゲンカして辞表を叩きつける

などのような、常道を逸した行動をとることも少なくなく、

  • 社会的信用を失う
  • 財産を失う
  • 職を失なう

などのような人生が変わってしまう程の行動をとってしまうこともあるようです。

 

躁状態が比較的軽い双極Ⅱ型でも、

  • いつもよりも妙に活動的
  • 人が変わったように元気
  • あの人らしくないほど元気

と、いうような軽い躁状態がみられます。

 

双極性障害におけるうつ状態

一方、双極性障害でうつ状態になると、

  1. 気分がすぐれない
  2. 何事にも興味が持てない
  3. 何をやっても楽しくない
  4. 死にたい気持ちになる

などの、うつ病と同じような気分的な落ち込みが見られ、

身体の調子も、

  1. 疲れやすくい
  2. 眠れない
  3. 食欲がない/食べ過ぎる
  4. 性欲がない

など、うつ病におけるうつ状態とほぼ区別かつかないといわれています。

 


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双極性障害はうつ病と間違われやすい

上に書きましたように、

双極性障害におけるうつ状態は、非常にうつ病の症状と似ているのです。

 

 

双極性障害もうつ病も、同じ気分障害といわれるグループの中の病気なのですが、

実際は全く違う病気で、発病のメカニズムや治療薬は全く異なるのです。

 

躁状態のときに受診すれば双極性障害と診断される可能性も高いのですが、

うつ状態のときに受診すればうつ病と診断されてしまうことが多いのです。

 

杏林大学の研究グループは、

 双極性障害と正確に診断されるまでに平均4年を要している

という研究成果を発表しています。
双極性障害では、

  1. 初期は65%がうつ病と診断される
  2. 双極性障害と診断されるまで平均4年もかかっている

というのです。

 

Perceptions and impact of bipolar disorder in Japan: results of an Internet survey.

Bipolar disorder is a recurrent and episodic illness.
This survey study assessed experiences and identified clinical insights of individuals with bipolar disorder.
An Internet-based monitor system database was screened for patients with bipolar disorder in Japan (February and March 2013).

Neuropsychiatric disease and treatment. 2016;12;2981-2987.

くわしく読む ⇒ 原著論文
双極性障害の患者では、受診時の初期には3/4の患者がうつ病と診断されてしまい、

初診から双極性障害だと正確に診断されるまでに平均4年もかかっているというのです。

 

この研究では、

  • 双極性障害患者1,050人を対象に
  • インターネットによるアンケート調査を実施

したのですが、

457人(男性226人、女性231人)から回答がえられ、

 

その結果、

    1. 初診時に専門医(精神科、心療内科など)を受診した : 86%
    2. 最初に受診したときの症状うつ症状 : 70%
      躁状態  : 4%
      躁うつ症状 : 15%
    3. 初診時に診断された疾患名うつ病 : 65%
      自律神経失調症 : 14%
      パニック障害 : 11%
    4. 双極性障害と診断されるまでの医療機関1ヵ所または2ヵ所目の医療機関で双極性障害と診断された : 70%
      双極性障害と診断されるまで3ヵ所以上の医療機関を受診した : 30%

ということが判明しました。

 

そして、

 初診から双極性障害と診断されるまでの平均時間は4年

もかかっていることが明らかになったのです。

 

さらに、

正確に双極性障害と診断されるまで時間がかかった理由として、

  1. 躁の症状を医者にいわなかった : 39%
  2. 双極性障害という病気を知らなかった : 38%
  3. 医者と充分に話をしなかった : 25%

としています。

正確に双極性障害と診断されるに至った理由は、

  1.  医者が双極性障害ではないかと診断した : 57%
  2.  患者がうつ状態から躁状態に変わった : 30%
  3.  他の医療機関を受診した : 28%

 

ということで、正確に双極性障害と診断されるまでに70%以上の患者が1~2回(33%、25%)も診断疾患名を変更されているのです。

 

研究グループでは、

双極性障害では、躁状態とうつ状態がくり返す精神疾患であるが、

  • 双極性障害に対する医者の理解不足
  • 患者が自分の状態を医者に正確に伝えられない

ということが、間違った診断や、正確な診断までに長時間を要することになったようだとコメントしていますが、

間違った診断が、どうして正しい双極性障害の診断に変わったのかは分からないとしています。

 

 

双極性障害は、診断が難しい精神疾患ですが、

今回の研究でも、誤って診断され適切な治療が受けられなかった患者の65%では就労や就学に支障をきたしており、患者は精神的経済的な負担が大きいのです。

 

双極性障害の患者は全世界レベルでは100人に1人、国内では500人に1人だとの調査結果があり、うつ病患者よりは少ないものの珍しい病気ではなく、

患者に男女差はなく、20~30代に発症することが多く、中学生から老年まで幅広い年代で発症します。

 

自殺リスクはうつ病よりも高く、

  • 20年後の自殺率は6%以上
  • 生涯での自殺率は10%以上

といわれ、自傷も30~40%の患者で見られたとの報告もあります。

 

 

  • うつ病と診断されて服薬しているがなかなか改善しない
  • うつ状態と改善がくり返す

ということであれば、双極性障害をも疑ってください

医者の受診を受けるときには、

 躁状態とうつ状態がくり返す

ということを正確に伝える必要があります

 


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