少量のアルコールはうつ病を予防する
今日もご覧になっていただきありありがとうございます。
臨床の経験はないのですが20年以上にわたって製薬会社で新薬の研究開発を行っていた医学博士の けんぞう です。
今日も科学的根拠に基づいた精神疾患関連の情報をお伝えいたします。
はじめに
うつ病はアルコールの摂取、つまり飲酒と関係があるといいます。
このサイトでも「うつ病ではアルコール依存症になりやすい」ということを紹介しました。
うつ病とアルコール依存症を併発している人が多いことが疫学調査で分かっています。
アルコールを摂取すると、
- 悩み事が忘れられる
- 落ち込んだ気分が高揚する
などから飲酒に走る人が多いのですが、アルコールが抜けると再び元に戻るため、
といわれるのです。
うつ病ではアルコールの摂取は本当に良くないのでしょうか?
うつ病と飲酒について文献を調べたら、
少量のアルコールはうつ病を予防するという文献がありましたのでご紹介します。
少量のアルコール摂取はうつ病を予防する
この文献はスペインのナバラ大学の研究グループによるもので、
2013年8月30日号にBMC medicine誌オンライン版に掲載されたものですが、
少量のアルコール摂取はうつ病を予防する
というものです。
Alcohol intake, wine consumption and the development of depression: the PREDIMED study.
詳しく読む ⇒ 原著論文
この研究は、
スペインでおこなわれたPREDIMED トライアルという地中海食群や低脂肪食の心血管疾患抑制効果を検討した大規模疫学調査によるものです。
7,000例を超す参加者の内、
- うつ病に罹患していない(過去にもうつ病に罹患していない)
- 男女5,505人(55~80歳)
について、
7年間に亘って、
- 137項目の食物摂取調査
- うつ病の発症
を追跡調査したのです。
その結果、
適度なアルコール摂取はうつ病の発症リスクを低下させる
ことが判明したのです。
具体的には、
1週間に2~7杯のワインはうつ病の発症リスクを低下させた
というのです。
研究グループは、
適度なアルコール摂取とは1日に5~15g
としていますが、
- ビール 500cc : アルコール20~25g
- 日本酒を一合 : アルコール25g
- ウイスキー30cc: アルコール12~15g
ですから、
少量のアルコール摂取の目安は、
- ビール : 300cc/日
- 日本酒 : 0.5合/日
- ウイスキー: シングル1杯/日
をおよその目安にしてください。
なお研究グループは、
大量のアルコール摂取ではうつ病のリスクが増加する傾向がある
としていますから飲み過ぎには注意してください。
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アルコールの飲み過ぎは気分を落ち込ませる
研究グループもいっているように、
大量の飲酒ではうつ病のリスクが増加する傾向がある
ので、アルコールの飲み過ぎは要注意です。
アルコールを飲んで、
酔った翌日に不安になったことはありませんか?
これは、
ハングザイエティー
という現象なのです。
酔った翌日に、
- みっともない姿を晒したのでは、、、
- 上司に言い過ぎたのでは、、
- 悪ふざけをし過ぎたのでは、、、
というような不安な気持ちになるのがハングザイエティーなのです。
ハングザイエティーとはhangxietyと書きますが、
- 二日酔い : hangover
- 不安 : anxiety
の2つの言葉からイギリスで作られた造語です。
ハングザイエティーの原因は明らかにされていませんが、
ストレスホルモンと関連があるのではないかといわれています。
ハングザイエティーを予防するためにも、
うつ病を予防するためにも、
飲みすぎないように、自分の適量を守ってお酒を楽んでください。
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