胃薬がうつ病の症状改善に効果がある|岡山理科大学

岡山理科大学は、

胃薬がうつ病の症状改善に効果がある

との論文を発表しました。

うつ病の症状改善に効果がある胃薬

これはまだマウスでの実験段階ですが、

うつ病の症状改善に効果があった胃薬は安全性が確立されており、

数年で実用化できる見通しだというのですが、

その胃薬とはどんな胃薬なのでしょうか?

 

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岡山理科大学は胃薬でうつ病の症状が改善されたと発表

岡山大学は、

既存の胃薬をうつ病のマウスに飲ませたところうつ症状が改善された

との論文をアメリカの科学雑誌であるScience Advances に発表しました。

 

HSP105 prevents depression-like behavior by increasing hippocampal brain-derived neurotrophic factor levels in mice

These observations suggest that GGA administration is a therapeutic candidate for depressive diseases by increasing hippocampal BDNF levels via HSP105 expression.

 

詳しく見る ⇒ コチラ

 

現時点では、マウスを用いた実験段階ですが、

毎日新聞の取材に対して、

うつ病患者を対象にした治験を実施してうつ病患者での効果を確認する計画だ

と述べています。

 

詳しく見る ⇒ 毎日新聞電子版

 

話は少しそれるのですが、Science AdvancesはScience 誌の電子版で、Science 誌は科学者なら生涯に1度はこの雑誌に論文を載せてみたいと願う程の賢威ある科学雑誌です。
私も50編を超す論文を書いていますが残念ながらScience誌に載せて貰えるような論文はありませんでした、、、。

 

岡山理科大学・理学部の橋川直也講師らの研究グループがおこなったのはマウスによる実験ですが、

  • 大きなマウス
  • 小さなマウス

を同じケージの中で飼育すると、

大きなマウスに攻撃されて小さなマウスはストレスからうつ状態になる

のですが、

脳内を調べたところ、

脳内の熱ショック蛋白が大幅に低下している

ことを見つけたというのです。

 

そこで、

熱ショック蛋白質を増やす働きのある胃薬を投与

したところ、

うつ症状が改善した

ということなのです。

 

うつ病のマウスのうつ症状を改善する既存の胃薬とは

非常にシンプルな実験ですのでお分かりになったと思いますが、

少し付け加えさせてもらうと、

 

熱ショック蛋白というのは、

Heat Shock Protein(HSP、ヒートショックプロテイン)のことで、細胞が熱などのストレスにさらされたときに、細胞を保護する目的で作られる蛋白質なのです。

最近の研究により、熱ショック蛋白は熱ストレスだけでなく様々なストレスにおいても細胞を守り私たちの体を守ってくれる蛋白質であることが明らかになってきました。

 

 

研究グループは、

  1. 胃薬を投与することによって、
  2. 熱ショック蛋白が増え、
  3. 抗うつ作用のある神経栄養因子(BDNF)が増加し、
  4. うつ症状が改善する

というメカニズムであることが判明したとしています。

 

さらに、

研究グループの代表者である橋川直也講師は、

今回用いた胃薬は安全性が確立しており、うつ病患者での効果を確認して2~3年以内で実用したい

と話しているそうです。

 


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うつ症状を改善する胃薬とは

気になるのは、今回の実験で使われた胃薬です。

研究グループは、「テプレノン」を投与したと述べています。

テプレノンは、化学品名で、

  • テプレノンカプセル50mg「トーワ」
  • テプレノンカプセル50mg「サワイ」

などとして販売されている医療用医薬品です。

東和薬品の胃薬はうつ症状を改善する可能性がある

 

テプレノンはどんなクスリか

 

テプレノンは、胃の粘液成分を増加させるクスリです。

胃粘膜の血流を良くして胃粘液成分の合成を促進して分泌を増加させる働きがあり、胃粘膜と粘液を正常に保つ働きがある物質を増やして、胃粘膜を保護するのです。

 

胃粘膜を胃酸やペプシンなどの消化酵素から守ることから、

  • 胃潰瘍
  • 十二指腸潰瘍
  • 急性胃炎
  • 慢性胃炎

などのときに処方されるのです。

 

 

成人は1回1カプセル(テプレノンを50mg)を1日3回食後に服用します。

主な副作用は、発疹、かゆみ、便秘、下痢、口渇、腹痛、腹部膨満感、頭痛などですが、

発売年は1971年ですから、もう初発売から50年近く経過し、ジェネリック医薬品も出ており、薬価は1カプセルが6.8円です。

 

主成分 テプレノン 60mg1カプセル
剤形 頭部が灰青緑色、胴部が淡橙色不透明のカプセル剤、全長約14.2mm
薬価 6.80円
この薬は後発品(ジェネリック医薬品)です
シート記載 Tw403、テプレノン50mg「トーワ」

 

副作用もなく非常に安いクスリですが、医療用医薬品ですから、

残念ながら医者の処方箋がないと買うことができません

 

研究グループは、

人におけるうつ症状の改善効果を確認するため、米食品医薬品局のデータベースを検索分析したところ、

 

肝炎の治療で使われるインターフェロンには、うつ症状の副作用があるのですが、

インターフェロンと同時にテプレノンを服用した場合にはうつ病の発症が40%低かった

 

ことが分かったと報告しています。

 

すでに50年近く使われている胃薬で重篤な副作用もありませんから大いに期待したいものです。

 


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