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更年期障害でうつ病になる男性が多い

今日もご覧になっていただきありありがとうございます。

臨床の経験はないのですが20年以上にわたって製薬会社で精神疾患などの新薬の研究開発を行っていた けんぞう です。

今日も科学的根拠に基づいた精神疾患関連の情報をお伝えいたします。

 

はじめに

5月26日の「あさチャン」をご覧になりましたか?

中年男性の「更年期障害」が急増しており国内で600万人もの男性更年期障害の患者がいるのだそうです。

更年期障害って女性だけの病気だと思っていたのではないでしょうか?

更年期障害は女性だけでなく男性にもあるのです。

女性では50歳前後に一気に卵巣機能が低下しますが、

男性の睾丸からの男性ホルモンの低下は徐々に進むので症状が出にくいのです。

男性更年期障害の症状は様々ですがうつ病になる人も多いのだそうです。

亡くなりましたが漫画家のはらたいらさんは男性更年期障害で苦しんだことは有名です。

あなたの憂鬱感も男性更年期障害からくるものかもしれません。

 

 

男性更年期障害が増えている

先月になりますが、TBS系の朝の番組である「あさチャン」の特集は、男性更年期障害でした。

働き盛りの中高年男性の「更年期障害」が急増しており、

中高年男性の男性更年期障害の発症率は6人に1人

国内の男性更年期障害の患者数は600万人と推測されている

のだそうです。

更年期障害といえば「女性の病気」と思いがちなのですが、男性の更年期障害も深刻らしく、

番組に出演した、男性更年期の専門外来があるマイシティクリニック(東京・新宿区)の平澤精一院長は、「昨年度の1.5倍の患者が来ており、潜在的な患者数はかなり多い」と述べていました。

 

男性の更年期障害とは

更年期障害といえばやはり中年女性を思い浮かべます。

女性では40代後半になると更年期障害の症状が見られます。

女性の更年期障害の原因は、ホルモンの低下です。

若い頃には女性ホルモンが規則正しく分泌され周期的に生理があるのですが、40代後半になると卵巣機能が急激に低下し、卵巣からのホルモン分泌が急減し、このホルモンバランスの乱れによって身体に様々な変調をきたすのです。

 

男性の更年期障害は男性ホルモンの低下

男性の更年期障害の原因も男性ホルモンの低下です。

女性ほど激しくはないものの、年齢が進むに従って、男性ホルモンであるテストステロンの濃度が徐々に低下します。

この状態は、加齢男性性腺機能低下症候群(Late-onset hypogonadism:略してLOH症候群)と呼ばれ、

この男性ホルモンの低下に伴う体の変調が男性更年期障害といわれるものなのです。

男性更年期障害の症状

男性更年期障害の症状は大きく3つに分けられます。

  1. 体の症状
  2. 心の症状
  3. 性の症状

男性ホルモンであるテストステロン濃度が低下して起こる疾患を医学的には「性腺機能低下症」というのですが、
特に明らかな疾患がなく、中高年でみられる加齢による男性性腺機能低下症候群(LOH症候群)が男性更年期障害といわれるものなのです。

しかし、

LOH症候群は一時的に生じる現象ではなく、男性ホルモン(テストステロン)が減少することによっておこる「病気」だととらえるべきだとする科学者も多いのです。

テストステロン濃度が低下することによって、上に挙げたように、体、心、性に関して様々な変化が見られます。

テストステロン濃度が下がれば、内臓脂肪が増え、メタボリックシンドロームのリスクも上がり、高血圧や糖尿病の原因にもなります。

また、テストステロン濃度の低下はうつ病や認知症の原因の一つでもあります。

男性として最も気掛かりなのは性機能に関する問題で、日本では現在1,130万人が、満足できる勃起ができていないといわれています。

 

ビートたけし、テリー伊藤さんも男性更年期障害

「あさチャン」の中では、ビートたけしやテリー伊藤さんも男性更年期障害に悩まされたと話していました。

 

ビートたけしさんは、50歳過ぎの頃に「受ける」といった仕事の依頼をその日の夜に「やらない」と言ったり、

次の日の朝には「やっぱりやる」と言うなど、気分がコロコロ変わる自分に振り回され、「ひどい時には1日3回ぐらい意見が変わった」と話していました。

テリー伊藤さんも、「女性にも、音楽にも、街の景色にもときめかない時期があった」と振り返っていました。

 


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男性更年期障害はうつ病の原因

男性更年期障害はうつ病との発症にも密接に関係しています。

吉田拓郎さん、コント赤信号の渡辺正行さん、亡くなりましたが漫画家のはらたいらさんなどが男性更年期障害によるうつ病を経験したことで、男性更年期障害が広く知られるようになりました。

テレビのクイズ番組「クイズダービー」に出演していたはらたいらさんは男性更年期障害で公演中に倒れ、うつ病の診断を受けたことは有名です。

 

渡辺正行さんも50歳の頃に、出演した舞台初日にこれまで経験したことがないほどあがってしまい、それ以後も治まらないために受診したところ、「男性更年期障害によるうつ病」だと診断されて薬を服用したそうです。

 

最近の研究では、

テストステロン濃度が低いとうつ病になりやすい

という多くの研究報告があります。

オーストラリアの大学の研究グループは、

うつ病と判断された人たちは、そうでない人に比べテストステロンの濃度が明らかに低かった

と報告しています。

 

 Low Free Testosterone Concentration as a Potentially Treatable Cause of Depressive Symptoms in Older Men

詳しく読む ⇒   原著論文

 

男性更年期障害の1つの重要な症状は、うつ状態なのです。

  • 落ち込んだ気分
  • 何もやる気がしない
  • 人間関係が煩わしい
  • 新聞を読むのも面倒くさい

これらはテストステロンの低下により生じている症状なのです。

さらに、男性更年期障害に併発するのが不眠症です。

 

不眠症には、

  1. 入眠障害 : 寝つきの悪い
  2. 中途覚醒 : 睡眠中にすぐ目覚めてしまう
  3. 早朝覚醒 : 朝早く目が覚めてしまう

などがありますが、

充分な良い睡眠がとれないと疲労が蓄積し、気分が落ち込みむ、やる気がしないなどの心の問題と、

免疫機能減少し、血圧上昇などの身体的症状の原因にもなるのです。

 

男性更年期障害の自己診断

年齢的に、症状的に、男性更年期障害かな、、と思ったら自己診断をしてください。

診断といっても、受診をするための診断ではありません。

最近感じている不調が更年期によるものだと知るだけでも、少しは気分が楽になるものです。

更年期障害のチェックリストには様々なものがありますが、下記の10項目のうち、自身に当てはまるものはあるでしょうか。

  1. 何となく体の調子が悪い
  2. 自分だけ暑さを感じたり、汗をかく
  3. 「あれ」「それ」などの言葉を多用してしまう
  4. 仕事や家事をやる気がしない
  5. 神経質になりイライラする
  6. 良く眠れない
  7. 約束をよく忘れる
  8. 趣味などに興味がなくなった
  9. 動悸や息切れが多い
  10. 頭痛やめまいが時々ある

上の症状で3つ以上当てはまる人は更年期障害に要注意です。

この症状は男女共通の更年期障害の診断ですが、

 

男性ではさらに、

  1. ヒゲの伸びが遅くなった
  2. 朝勃ちの回数が減った
  3. 性欲がない

の症状があります。

男性更年期障害は女性と同様に40歳代後半から見られるようです。

男性更年期障害だからといって誰もが身体や心の症状が現れるわけではなく、気づかすに過ごす人も多いのです。

また、男性更年期障害も女性の更年期障害と同様に、ある程度の時期を経過すれば体も心も慣れてくるのです。

調子が悪いときには無理をせず、規則正しい生活と睡眠を充分取ることが大事です。

しかし、余り長く続くときには泌尿器科か心療内科の受診を受けることも必要です。

 


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