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    Categories: うつ病の心理療法

うつ病には認知行動療法が効果がある

うつ病と診断され、薬を処方され、きちんと服薬しているけど、

少しも良くならない、、、

薬の量がどんどん増えていく、、、

いつまで薬を飲み続けなければならないのか、、と思い悩む患者はあなただけではありません。

認知行動療法というのをご存じですか?

認知行動療法は国の機関である、認知行動療法センターでも研究されており、世界的なレベルで認知行動療法の有効性が評価されているのですが、

京都大学の研究グループは、

軽度のうつ病でも良好な改善効果が得られた

と発表しました。

薬物治療を続けても、なかなか効果が得られず、思い悩んでいる、うつ病患者において、

認知行動療法は一筋の光となってくれるかもしれないのです。

 

 

うつ病の治療に認知行動療法が効果がある

京都大学の古川教授らの研究グループは、

うつ病の治療に認知行動が効果がある

との研究論文を発表しました。

薬物療法に頼らず、

ものごとに対するとらえ方を修正することで気分や行動を変化させる「認知行動療法」により、

重症のうつ病だけでなく、軽度のうつ病でも良好な改善効果が得られたというのです。

Initial severity of depression and efficacy of cognitive-behavioural therapy: individual-participant data meta-analysis of pill-placebo-controlled trials.

CONCLUSIONS:
Patients suffering from major depression can expect as much benefit from CBT across the wide range of baseline severity. This finding can help inform individualised treatment decisions by patients and their clinicians.

くわしく読む ⇒ 原著論文

 

研究グループは、

  1. 1989~2006年に実施された5つの認知行動療法に関するデータを解析
  2. 認知行動療法の効果を調べた

のです。

 

解析対象者は、

  • 重症と診断されたうつ病患者 : 509人
  • 比較的軽度の気分変調症患者 :   46人

で、平均年齢は40歳前後だったとしています。

 

その結果、

認知行動療法は、

  • 重度のうつ病に対しても軽度のうつ病に対しても同程度の改善効果を上げる

ことが分かった報告しました。

 

この研究では、

治療効果の判定を治療必要数で判定していますが、

 

治療必要数とは、薬物などの治療効果を評価する指数です。

通常は、「服薬によって発症率が〇〇%減少した」などで表されることが多いのですが、

治療必要数は、「1名発症を防ぐ為に、どれだけの人が服用する必要があるか」というのが治療必要数です。

 

一般的に処方されている抗うつ薬の治療必要数は7~9だといわれていますが、

認知行動療法における治療必要数は、重症うつ病でも軽症うつ病でも12だったとのことで、

認知行動療法は、

  1. 重症うつ病でも軽症うつ病でも効果がある
  2. 治療必要数は12で薬物療法に劣らない効果がある

ということになります。

 

認知行動療法は、すでに、軽症うつ病では効果があることは多くの研究で確認されていましたが、

今回の研究により、

 軽度のうつ病患者でも効果のあることが示された

のです。

 

研究グループは、

今後は、うつ病の重症度にかかわらず、患者自身の意向によって認知行動療法を治療を選択すべき必要があるのではないか

とコメントしています。

 

慶応大学の研究グループも、

薬物療法に短期の認知行動療法を組み合わせることによって、1年後に70%を超えるうつ病の改善がみられたと報告しています。

 

さらに、

京都大学の研究グループも独自に開発した「心のアプリ」の使用で、抗うつ薬が効果のなかったうつ病患者の40%でうつ病の改善が見られたと報告しています。

 


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うつ病治療に効果がある認知行動療法とは

 

認知行動療法(Cognitive behavioral therapy:CBT)は、それまでにおこなわれていた行動に焦点をあてた行動療法に、アメリカの精神医学科医であるアーロン・T・ベック博士の提唱した認知療法などが加味され、発展してきた心理療法の総称です。

認知行動療法は、うつ病、パニック障害、強迫性障害、不眠症、薬物依存症、摂食障害、統合失調症などさまざまな疾患において、科学的根拠に基づく有効性が立証されています。

 

国内では、

国立研究法人 国立精神・神経研究センター 認知行動療法センター

が設けられ、国レベルでの研究がおこなわれています。

認知行動療法センターでは、

認知療法・認知行動療法は、うつ病や不安障害などに対する治療効果が実証されている精神療法(心理療法)で、
個人で行うものの他に、
集団や家族を対象に行うものがあります。
また、医療以外でも地域や職域の精神保健分野や、法律や教育に関連した領域などで認知療法・認知行動療法のスキルが活用されるなど、その適用範囲は大きく広がってきています。

としています。

認知行動療法とは

認知行動療法は、ストレスとなる出来事などに対する4つの反応である、

  1. 反応 : ストレスなどに対する身体の反応
  2. 認知 : ストレスなどの認知(受け止め)
  3. 感情 : ストレスなどに対する感情
  4. 行動 : ストレスなどに対してとる行動

のうちの、

本人が意識してある程度コントロールできる、

  1. 認知
  2. 行動

に働きかける治療法で、

うつ病のほか、パニック障害や糖尿病など生活パターンに起因する生活習慣病の治療などにも応用されています。

 

具体的には、

  • マインドフルネス認知療法
  • 森田療法

などが有名です。

マインドフルネス認知療法については、「マインドフルネスでうつ病が回復」でもご紹介しましたように、

自分の周りで今起こっていることに意識を集中できるようにする脳の瞑想トレーニング

明日や将来のことを心配せずに、今にだけ集中すれば良いとのトレーニングなのです。

また、

コーピングはあなたもうつ病を改善できる」でご紹介したコーピングも、

  1. ストレスをどのように受け止め、
  2. どのように行動するか、

というストレスの対処を学ぶトレーニングなのです。

 

うつ病に悩む多くの人は、生真面目、几帳面な人が多いと言われるように、

先先と心配したり、起こりもしないことまで心配するような、

自分自身でストレスを作ってしまっていることが多いのです。

これは、「心配事の90%は起こらない」というように、

今のことだけに集中する

これが、うつ病における心理療法の基本なのです。

 

余り悩まないでください。

今のことだけに集中すればよいのです。


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