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    Categories: うつ病の食事療法

ヨーグルトをよく食べるとうつ病にならない

今日もご覧になっていただきありありがとうございます。

臨床の経験はないのですが20年以上にわたって製薬会社で新薬の研究開発を行っていた医学博士の けんぞう です。

今日も科学的根拠に基づいた精神疾患関連の情報をお伝えいたします。

 

はじめに

ヨーグルトやヤクルトなどの乳酸菌を含む製品はうつ病に良いと言われています。

その理由は、

ヤクルトやヨーグルトなどの乳酸菌は腸内でセロトニンを産生するからだといわれています。

これには科学的な根拠があり、

スペインの研究グループは、

ヨーグルトを良く食べる人ではうつ病の発症が少なかったと報告しています。

あなたはヨーグルトを食べていますか?

 

 

ヨーグルトを毎日食べるとうつ病の発症が少ない

ユーグルトやヤクルトなどはうつ病に良いと言うことはこのサイトでもご紹介してきました。

 

⇒ 乳酸菌はうつ病に良い

⇒ ヤクルトはうつ病に良い

⇒ カルピスはうつ病に良い

 

しかし、乳酸菌を含む食品を摂取するとうつ病の発症が抑えられるかについては余りデーターがなかったのです。

 

スペインのナバラ大学の研究グループは、1万5,000人を対象にした10年間の疫学調査で、

ヨーグルトをよく食べる女性ではうつ病の発症が低い

という研究成果を発表しました。

 

Intake of High-Fat Yogurt, but Not of Low-Fat Yogurt or Prebiotics, Is Related to Lower Risk of Depression in Women of the SUN Cohort Study

Conclusions :  Our study suggests that high consumption of whole-fat yogurt was related to a lower risk of depression in women of the SUN cohort. No association was observed for prebiotics. Further studies are needed to clarify why the yogurt-depression association may differ by fat content of the yogurt.

原著論文
http://jn.nutrition.org/content/early/2016/07/26/jn.116.233858.abstract?sid=7dfef021-e76f-4273-a246-5797da736be3

 

上に挙げたように、このサイトでもうつ病の発症には乳酸菌や腸内細菌が関与しているとの多くの研究が発表されています。

 

しかし、実際にヨーグルトなどの乳酸菌を含む食品を摂るとうつ病の発症が抑制されると言うことに関しては余り報告がなかったのです。

 

スペインのナバラ大学の研究グループは、「ヨーグルトを食べるとうつ病の発症が抑制されることを確認するためにこの疫学調査を行った」と述べています。

 

研究では、

  • 健康な男女1万4,539人(平均年齢37歳)
  • 10年間、うつ病の発症状況を追跡調査

したのです。

 

その結果、

10年の間にうつ病と診断された人は727人(5.0%)

だったのですが、

ヨーグルトの接触状況との関係を調べるために、

ヨーグルトを1週間に何回食べるかにより(1食に125g)、

  1.  1週間に0.5食以下
  2.  1週間に0.5~3食
  3.  1週間に3~7食
  4.  1週間に7食以上

の4群に分けて、ヨーグルトの摂食回数とうつ病発症との関係を調べたのです。

 

その結果は、

 週に7食以上食べる人は0.5食以下の人に比べてうつ病発症のリスクが22%低い

ことが分かったのです。

 

特に、

女性ではうつ病発症のリスクが34%減少

したのです。

 


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ヨーグルトは腸内のセロトニン量を増やす

うつ病の発症には神経伝達物質である脳内のセロトニンの量が減少しているからだと言われています。

 

私達の体の中のセロトニンは、脳内には全セロトニンの2%しかなく、90%は腸内にあることが分かっています。

脳内には2%のセロトニンしかないのですが、私たちの精神状態を大きく支配しているのです。

 

腸内にセロトニンが多いのは、善玉菌といわれる乳酸菌などが腸内でセロトニンを生産しているからで、ヤクルトやヨーグルトなどの乳酸菌は腸内で食物繊維を餌として腸内で増えるとセロトニンの生産量も増えるのです。

 

マウスを用いた実験では、腸内細菌をなくすと狂暴化することが確認されており、

腸内のセロトニンが脳に運ばれていると考えられているのですが、

 

実際に、乳酸菌の摂取によって脳内のセロトニン量が増えてうつ病の発症が抑制されるという研究結果は今回のスペインの研究グループが初めて明らかにしたのです。

 

 


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うつ病を抑制するには全脂肪ヨーグルト

今回紹介したスペインのグループでは、

High-Fat Yogurt, but Not of Low-Fat Yogurt

と述べています。

 

すなわち、

〇 全脂肪ヨーグルト

✖ 低脂肪ヨーグルト

ということですので注意が必要です。

 

ダイエットのために低脂肪ヨーグルトを選択する人も多いのでしょうが、

低脂肪ヨーグルトより全脂肪ヨーグルトがメタボの予防効果が高いことが、2015年8月19日の「Journal of Nutrition」電子版で発表されています。

 

この研究は、スペインのロビラ・イ・ビルジリ大学、ナバラ大学などによる共同研究チームによって行われたのですが、

  • メタボではない1,868人(55~80歳)
  • 2003年から7年間追跡調査

をおこない、食習慣とメタボの発症リスクを比較したのです。

 

その結果、

  • 低脂肪ヨーグルトをよく食べる人ではメタボの発症リスクが73%減少
  • 全脂肪ヨーグルトをよく食べる人ではメタボの発症リスクが78%減少

と、むしろ全脂肪ヨーグルトを食べる習慣の人のほうがメタボの発症リスクが低かったのです。

 

ヨーグルトを食べる習慣がある人ではうつ病の発症が少ないのですが、

ヨーグルトは全脂肪ヨーグルトを選んでください

 


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