うつ病の早期改善で最も効果がある抗うつ薬

 

抗うつ薬にはたくさんの種類があります。

1960年代に開発された第一世代といわれる三環系抗うつ薬から、

最近では、

  • 第二世代
  • 第三世代
  • 第四世代

という抗うつ薬まで処方されています。

うつ病では早期治療が重要だといわれていますが、抗うつ薬が効果がある患者は50%だともいわれます。

ドイツの研究グループは、「早期治療で効果がある抗うつ薬」という研究論文を発表しました。

 

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うつ病の早期治療で効果がある抗うつ薬

うつ病の治療では早期開始が重要なのですが、

投薬後2週間でのうつ病症状の早期改善は、その後の治療結果を予測するレジリエンスシグナルであるといわれています。

レジリエンスシグナルというのはその後の治療効果を予測する目安となるもので、投薬開始後2週間でうつ症状の改善が見られればその後の治療に非常に期待が持てるのです。

ドイツ・ヨハネス・グーテンベルク大学の研究グループは、

うつ病の早期改善の可能性が最も高い抗うつ薬を特定する

する研究をおこなっており、

Journal of psychiatric research誌の2017年7月4日号に掲載されました。

 

Early improvement as a resilience signal predicting later remission to antidepressant treatment in patients with Major Depressive Disorder: Systematic review and meta-analysis.

詳しく読む ⇒ コチラ(PubMed)

 

 

研究グループは、

うつ病の早期改善効果に関する、

  • 17件の研究論文
  • 14,779例の治療効果

について、

  • 治療2週間後の20%/25%超の症状改善を早期改善

と定ねて統計解析をしたのです。

 

その結果を要約しますと、

  • 抗うつ薬によりで62%の早期改善が認められた(プラセボ群では47%)
  • 早期改善がみられた患者は薬物治療効果が8.37倍高く、寛解率も6.38倍高かった。
  • 早期改善効果が高かった抗うつ薬はミルタザピンと三環系抗うつ薬であった

というものでした。

 

研究グループは、

今回の成績はうつ病の早期治療での薬物選択において重要那智県で、早期治療での有効性を検討する試験をさらに行うべきであるとコメントしています。

 

最も初期治療効果が高かったというミルタザピンは、「ノルアドレナリン・セロトニン作動性抗うつ薬」(NaSSA)と呼ばれ、三環系やSSRIとは異なった新しい作用機序を持った抗うつ薬ですね。

 

もっとも早期改善に効果があった抗うつ薬はミルタザピンと三環系抗うつ薬

 


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国内の抗うつ薬の種類

今回紹介した論文では、

ミルタザピンと三環系抗うつ薬がもっとも早期改善に効果があった

 

ということですが、ミルタザピンと三環系抗うつ薬も国内で販売されています。

 

抗うつ薬は一般的に下記の様に分類されます。

  1. 第1世代 : 三環系抗うつ薬
  2. 第2世代 : 四環系抗うつ薬
  3. 第3世代 : SSRI
  4. 第4世代 : SNRI・NaSSA
  5. その他

 

三環系というのは下記のように六角形をしたベンゼン環といわれる構造を3つ持った薬剤です。

四つあれば四環系薬といわれます。

ちなみに下記の構造式は有名なトリプタノールで、1961年に発売された抗うつ薬で、

SSRI/SNRI、Nassaなど新しい、安全性の高い抗うつ薬に取って代わられ感がありますが、三環系は、強力な抗うつ効果がある抗うつ薬です。

 

SSRI、SNRI、Nassaについては、

SSRI : 選択的セロトニン再取り込み阻害薬

SNRI : セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬

Nassa : ノルアドレナリン・セロトニン作動性

ということで、やや難しくなりますが、「セロトニンを増やす薬」と考えておけば良いでしょう。

 

抗うつ薬の種類

具体的な抗うつ薬を上げてみよう。

分類 商品名 一般名 主な販売元
三環系 アモキサン アモキサピン  ファイザー
トリプタノール アミトリプチリン塩酸塩  MSD
アナフラニール クロミプラミン塩酸塩  ノバルティス
SNRI サインバルタ デュロキセチン  イーライリリー
イフェクサー ベンラファキシン  ファイザー
SSRI ジェイゾロフト セルトラリン  ファイザー
レクサプロ セルトラリン  持田製薬
パキシル パロキセチン  グラクソ
Nassa リフレックス ミルタザピン  明治製菓

 

売上げ高は分かりませんが、処方量が多いと思われる抗うつ薬の順位は、、、

  1.  サインバルタ(デュロキセチン;SNRI)
  2.  ジェイゾロフト (セルトラリン;SSRI)
  3.  レクサプロ (セルトラリン;SSRI)

ではないかと思われます。

正確な情報が見つかりましたら改めてお知らせします。

 


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